巨大楽器・チューバ

皆さんは「チューバ」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

ブラスバンド、オーケストラ、その中でも一際大きく、縦に伸びた巨大なラッパが存在感を放つ低音楽器。

一見地味に見えるポジションですが、チューバの低音がなければ高音楽器の演奏は成り立たないと言っても過言ではない程の重要な楽器パートで、チューバはまさに楽団の脚とも言えます。

頭の上から響くブオーという独特の強烈な低音は演奏していても非常に心地よく、パーカッションに絡ませる事で打楽器のリズムに音域を与え、楽団全体をまとめ上げる。

吹けば吹くほど、皆と合わせれば合わせるほどに楽しさが増していきます。

今日はそんな楽団の土台を支えるチューバについての解説をしてみたいと思います。

楽器の特徴

基本的にはトランペット等の金管楽器と同じく、マウスピースに唇を押し付けて振動させ、ピストンを指で操作しながら唇の広げる大きさを調整して演奏します。

他の楽器とは明らかに違う最も特徴的な部分はその大きさです。

他の金管楽器の数倍にも及ぶ太さと大きさを誇るブラスは管楽器中でも最大クラス。

演奏者が構えれば頭の上まで伸びる程のサイズを持ちます。

そしてその巨大なブラスから奏でられる音はオーケストラの最低音。

楽団全体の土台を支える縁の下の力持ちとしての役割があり、一般的な軽音楽やPOPミュージックで言うベースのポジションがあります。

主に吹奏楽経験者の方ならば、トランペットの様にピストンが3つ~4つの物、又はロータリー式の物が一番馴染みが深いと思いますが、中には最大で7つのピストンを持つタイプも存在します。

また、頭上へと垂直に伸びたベルも特徴かつ利点の一つで、ホール等で演奏する際には、ホールの天井に音を上手く当てて跳ね返して反響させると言った高度なテクニックも存在します。

(著者も実際に吹奏楽部時代に外部顧問の先生からこのやり方を教わりました。)

マーチング特化型チューバ「スーザフォン」

度々チューバの派生型として取り上げられるスーザフォンは「星条旗よ永遠なれ」「ワシントン・ポスト」等数々のマーチングの名曲を生み出した知る人ぞ知るマーチ王「ジョン=フィリップ=スーザ」によって考案されたマーチングに特化したチューバで、体全体に巻き付ける様に担ぐ独特の渦巻き型の形状が特徴です。

チューバと同じく非常に重くかさ張る巨大な管楽器です。

ですが通常のチューバとは違い、体全体で楽器の重さを支える形状のため持ち上げた際の体や腰への負担が少なく済みます。

そのためマーチング特有の、立ったまま移動し、動きながらの演奏も比較的楽に行えるように配慮して設計されたとの事です。

ですが基本的なピストンの操作は普通の縦長タイプのチューバと全く同じであるため、普通のチューバの演奏法をマスターしていれば問題なく演奏可能です。

(著者も体育祭やマーチングのコンクールの際には普通のチューバからスーザフォンに持ち替えて演奏していました。)

チューバの歴史

「チューバ」と言う単語は本来、ラテン語で「管」と言う意味があり、いわゆるラッパ型の金管楽器全体を指す言葉でした。

(要するに英語のチューブ(tube)と同意)

現在のチューバの形が完成するのは19世紀に入ってからになります。

ベルリンのプロイセン軍楽隊隊長である「ヴィルヘルム=ヴィープレヒト」と楽器職人「ヨハン=ゴットフリート=モーリッツ」により考案、開発され、1835年に正式に特許を取得します。

それまでは低音楽器としてセルパンと呼ばれる古楽器等が主流だった楽団に金管楽器の新たなポジションを確立。

瞬く間にチューバは普及することになります。

その背景には18世紀半ばに発生した産業革命の影響が大きいと言われており、金属加工の技術が飛躍的に向上していく中で、金属製楽器の開発や製造技術も飛躍的に進歩。

産業革命は現代の楽器や音楽界にも大きな飛躍を与える事となったのです。

著名な女性チューバ奏者

音楽界の低音を支えるチューバ奏者。

世界に今や星の数ほども存在する演奏者の中でも、特に注目のプレイヤーとして今回ご紹介したいのは、「キャロル=ヤンシュ」さんです。

彼女が女性チューバ奏者として世界的に注目を集めたきっかけは2006年に成し遂げた、ある偉業に他なりません。

この年彼女が成し遂げた事、それは世界にも名高いフィラデルフィア管弦楽団の首席チューバ奏者に就任した事です。

チューバはその巨大さ故に体力や肺活量も要求する楽器であり、どうしても男性奏者が圧倒的多数を占めています。(それに大きすぎて体格、体力共に恵まれている人でないとなかなか始めにくいというイメージもあります。)

そんな中、彼女は女性としては歴史上初めてアメリカのメジャーオーケストラの首席チューバ奏者に就任。

瞬く間に世界の低音楽器奏者のみならず音楽界全体の期待の星として注目を集めるようになりました。

2019年には皆さんもご存知YAMAHAのイベントにて新宿でファンミーティングのために来日も行っている等、今後の活動にも目が離せないプレイヤーの一人と言えるでしょう。

まとめ

吹奏楽やオーケストラではどうしてもトランペットやトロンボーン、サックス等に目が行きがちですが、楽団全体を支える最低音の存在がなければ曲の厚みは一気にスカスカに薄くなってしまいます。

低音楽器の役割である縁の下の力持ち、これはやった人にしか分からない独特の面白さや楽しさ、魅力がたくさん詰まった、本当に楽しくて夢のあるポジションです。

特に自分の演奏するバンドサウンドがまとまった時の達成感は言い表せない程の素晴らしい物です。

もしこの記事を読んで、少しでも低音楽器やチューバに興味を持って頂けたなら幸いです。

そして今現在チューバを演奏されてる皆さん、是非とも音楽ライフを存分に楽しんで頂けたらなと思います。